親ごさんと支援者の方々へ・・・6つのお願い 

 

ダウン症を有する人に …

1)レッテルを貼って見たり言葉に出したりしないでください。

2)評価する前に理解し、同じ人間として共感してください。

3)心身の不調には、早く適切に対処してください。

4)発達年齢は一人の中でも一律ではないことを知ってください。

5)ダウン症の人にはダウンタイム(Downtime:リラックス時間)が必要です。

6)常に「原点」に戻ってください。

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これを解説しますと

1)         レッテルを貼って見たり言葉に出したりしないでください。

レッテル貼りは、当然、偏見・差別につながりますが、特定分野における専門用語も、立場が異なり共通認識を欠けば偏見につながりやすい、キケンな言葉です。

保護者・支援者が無意識に口にするレッテル貼り言葉には次のようなものがあります。

 障害児(者)、ダウン症児(者)、ダウンちゃん、知恵遅れ、がんこ、症状、精神疾患(障害)、退行、常同運動、老化、認知症やぼける、など…

… これらは対等で複雑な人間であることを忘れてしまう言葉でもあります。否定的で単純な言葉からはご本人を傷つけ、本質が見失われ、正しい対応・対処が忘れられてしまいます。

このような否定的な言葉を、本人の前で無意識に言っていませんか?たとえ言葉がなくても、聞いて理解することはできます。それに否定的な雰囲気は誰もが感づいています。

2)         評価の前に理解し共感してください。

人間は誰も評価されるより共感してほしいものです。当然、ダウン症があっても同じです。

支援学校で、多くのダウンの子は素直で手をかけなくても大丈夫と思われているとも聞きます。逆に、言うことを聞かない子は、わがまま、または遅れが重度とだけ判定されがちなようです。人間としての基本とダウン症の特性を理解しないままの評価は後にツケを残します。 

3)         心身の不調には、早く適切に対処してください。

お子さんが少しでも変だと思われたら、できるだけ早い対処が改善につながります。放っておいて良くなることはあまりないのです。そのときはまず、体の病気について調べてもらってください。もし精神的な問題があるとわかった場合は、その要因には、周囲の無理解・不適切対応によるストレスや人間関係のつまずき、または彼らの善意が届かない時なのです。言葉で表現するのが苦手なことや、我慢強い人が多いことも知ってください。

要因は完全にわかる必要はありません。だいたいわかったら対処に向かうことが必要です。

4)         発達年齢は一人の中でも一律ではないことを知ってください。

誰でも発達年齢は一律でないのですが、発達障害のある人は特にバラツキが大きくなりやすいのです。発達検査や知能検査で出される結果も、発達や能力の一部を調べただけにすぎません。これが出来るからこれも出来るはずとか、逆に、これが出来ないからこれも出来ないだろうと決めつけないでください(例えば、言葉が出ないから文字は読めないだろうとか)。外にあらわれている発達は、本人の元々もっている能力以外に、環境の影響(能力が伸びる環境か遅れを招く環境か、豊かな経験か経験不足かなど)が大きいのです。

5)         ダウン症の人にはダウンタイム(Downtime)が必要です。

ダウンタイムとはリラックスタイムのことです。頑張り続けると誰でも疲れて心身に故障がでます。ダウン症の人は一般人よりも心身の器の量が小さいのです。頭の整理をして状況判断するにも時間がかかります。その上、期待に応えようと、疲れを見せないで頑張ってしまいます。それをもっと頑張らせたら、燃え尽きてしまっても当然でしょう。次々に課題を与えていくことをしないで、一段落したら必ず心身を休ませてください。

6)         常に「原点」に戻ってください。

原点とは、ダウン症について特性を十分知っていることです。この特性を知っていないと一般の人と同じで時間がかかるだけなのに、また、ダウン症としては正常であるのに、異常と判断してしまいます。さらに、不適切な環境下では、有利な点でも不利になってしまうこともあります。

 

ダウン症の特性とは

)   ダウン症それ自体は病気でも障害でもなく人類のバリエーションである

)   尊厳をもった立派な人間であり、特性以外は全く「普通」である

)   永遠の子どもというのは誤り、それは環境で作られる

)   発達はゆっくりで、考えて理解するのにも時間がかかる

)   長期記憶が良いが、時間の経過を把握するのは苦手で学ぶ必要あり

)   知的発達障害があるので、学ぶのに時間がかかるが勉強好き

)   抽象的、漠然とした話は理解しにくいので説明は具体的に

)   心優しく、ひとの気持ちを汲み、思いやりに富み、感受性強い

)   他の人が争っているのが嫌いで心を痛める

)   全体が見られるが不完全、全体がわかれば部分は理解しやすく応用可能

)   目で覚え、観察力・形態認知・空間認知に優れ、模倣上手

)   言葉で表現するより行動にあらわすほうが早い

)   耳から理解するのは比較的弱く、話をしっかり聴くのも苦手

)   想像力や空想力が豊かで、適度ならばストレス解消にもなる

)   独り言もストレス解消に効果があるが、場所を選ぶ必要あり

)   こだわるのは保守性、美学のあらわれである

)   手は器用、ただ動作が幾分遅く、経験不足で手・指の筋が弱体化

)   筋緊張低下(低緊張)があり筋量は一般より少ない

)   一般人よりも罹りやすい病気と罹りにくい病気がある

)   薬が効きすぎ、薬の副作用がでやすい傾向がある

 ( McGuire D and Chicoine B: Mental Wellness in Adult with Down Syndromeに追加 )

 

(文責 長谷川知子、日本ダウン症協会理事、元 静岡県立こども病院遺伝染色体科医長、

臨床遺伝専門医、第10回日本ダウン症フォーラム実行委員長、

いでんサポート・コンサルテーション オフィス

 

出展:日本ダウン症協会理事 長谷川知子先生のご厚意により掲載させていただいております。